糖尿病性腎症

腎臓は血液の老廃物をろ過して体液の調整をする大切な臓器です。
その働きを担っているのが、糸球体という細い血管の集まった組織です、高血糖が続くと糸球体の構造が変わり、腎臓の機能が低下します。高血圧も腎臓に負担をかける重要な要因です。
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症状
糖尿病性腎症の初期段階では症状が現れにくく、進行すると以下のような症状が現れます。
- 1.初期
- 尿中のアルブミン(タンパク質)が微量に増加(微量アルブミン尿)。血液検査では異常がなく、自覚症状もほとんどありません。
- 2.進行した症状
- 尿中のタンパク質量が増加(顕性アルブミン尿、または蛋白尿)、浮腫(特に足や顔に現れる)、高血圧の悪化、疲労感や全身の倦怠感、食欲不振、吐き気、体重減少等。
- 3.末期症状
- 尿が作れない、体液が過剰に溜まり息切れや心不全をきたす、カリウムがたまり危険な不整脈がおこる、血液をつくるホルモンが分泌されず貧血になる、骨がもろくなり骨折する等
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治療
- 血糖値の管理
- 適切な血糖コントロールが最も重要です。生活習慣の改善や、インスリンや血糖降下薬等を使用します。
- 血圧の管理
- 塩分制限、必要に応じて降圧薬を使用します。毎日血圧を測りましょう。
- 食事療法
- 塩分、タンパク質、カリウム、リンの摂取を適切に制限する食事療法が推奨されます。主治医に相談しましょう。
- 習慣の改善
- 定期的な運動、禁煙、アルコールの制限などの生活習慣の改善が推奨されます。
- 薬物療法
- 腎障害の進行を遅らせる薬物として、ナトリウムグルコース共輸送担体2(SGLT2)阻害薬、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)などが使用されることがあります。
- 透析や腎移植
- 腎不全が進行した場合、透析や腎移植が必要になることがあります。